山口県心理リハビリテイション研修会

【2019年12月8日(日)】

周南市新南陽総合福祉センターにて、山口県心理リハビリテイション研修会を開催しました。今回は、ダウン症児(者)への動作法についての講義や訓練を、大分大学名誉教授の田中新正先生をお迎えしての研修会となりました。教員10名、指導員等6名、山口大学の学生7名、保護者14名、ダウン症児(者)10名が参加して行われました。

 

 午前中は、田中先生の講義がありました。

脳性まひの動作不自由の改善を目的として開発されてきた動作訓練を他の対象者に適応するようになってきた歴史を話され、動作法とは、相手に動かす努力を促し、その努力の仕方(動かし方)を変えることにより、問題の解決や望ましい生き方を促す援助方法であることを説明されました。(意図→努力→身体運動)

 

その後、ダウン症への動作法についての話を中心にお話されました。

ダウン症候群の姿勢や運動発達の遅れは、胎内にいるときにとっていた姿勢(Gパターン姿勢)を形成している筋緊張を主体的に解消できなかったことによるものと、そのために起こる二次的な動作の誤り学習の結果であると考えられると話されました。

ダウン症候群の一般的な姿勢特徴が、顎が前に出ていて猫背で、出っ尻、腰は曲がっていることが多いが膝の反張になっていることもあり、足首は外反になっていることが多く、股関節には低筋緊張が見られるということを踏まえての指導法を話されました。

一人歩きができていない段階での指導は、Gパターン姿勢を形成している筋緊張を解消(リラックス)して、重力に応じた姿勢や運動ができるように力の入れ方を指導し、歩行ができる段階になると、Gパターン姿勢を形成している筋緊張の解消以外に、二次的に身についた誤り動作に対して、正しい方向(重力に対してタテ方向)への力の入れ方の指導を行うそうです。

動作法の指導により、顎をひいた姿勢になると、噛む力が強くなったり、口が開いた状態がなくなるので、風邪を引きにくくなったり、吃音も変わるとも話されていました。また、トレーナーとのコミュニケーション・プロセスのなかで、より確かな人間関係を体験することにより、対人関係の改善が見られることも話されていました。

 

午後からの訓練会では、ダウン症児(者)一人一人を田中先生に訓練していただきました。一人一人の姿勢の特徴を調べていただき、指導法のアドバイスをいただきました。また、保護者には、オムツ替えの時にするといい方法などを教えていただくこともありました。

<参加した保護者からの感想>

 

紬稀ちゃんママ

「素晴らしい機会を与えてもらえて、感謝しております。田中先生を信頼し、娘が終始ニコニコ笑顔で指導を受けることができ驚きました。次回またこういう機会があるなら、ぜひ参加したいです。」

 

一翔くんママ

「会に参加して、自分の持っている悩みを、聞ける事が出来、良かったです。また会に参加したいです。」

 

志帆ちゃんママ
「泣き叫ぶ娘にも優しく対応して下さり、母としても大変にありがたい事でした。日々疑問を抱いていた娘の身体的な事も的確に指示して頂き貴重な時間を過ごさせて頂けた事に感謝しております。また機会がございましたら、是非参加させて頂けたらと願います。」

 

理紗ちゃんママ

「動作法と出会ってからずっと田中先生に訓練を受けたいという願いがこんなにも早く、しかも県内で実現、本当に夢の様な時間でした。発達の特性もわかり易く娘の不得意箇所へのアプローチも丁寧に教えて頂けた事で家庭内の触れ合いがより楽しい時間になっております。この様な機会を頂き関係者の皆様のご尽力に感謝致します。」